負動産対策に関する法令まとめ

2023年06月16日

所有しているだけで負の不動産になっているものを負動産と呼ばれています。所有者不明の土地だけに関していえば、九州の面積に匹敵するぐらいのものがあるそうです。今後、こういった負動産を活用できる形にするための法整備が進んでいます。これらをまとめて解説していきます。

目次

1.負動産発生のメカニズム

2.負動産を放置することによるリスク

3.近年の法改正による負動産対策

4.まとめ


1.負動産発生のメカニズム

 負動産とは、価値が減少する傾向にある不動産のことを指します。負動産が発生するメカニズムは以下のようなものがあります。

 ①地価の下落:不動産価格は、地価に依存しています。地価が下落すると、その地域の不動産価格も下落する可能性が高くなります。地価が下落する原因としては、不況や過剰な供給などが考えられます。

 ➁建物の老朽化:建物が老朽化すると、修繕や改修が必要になります。修繕費用がかさむ場合や、改修が難しい場合には、不動産の価値が下落する可能性があります。

 ③周辺環境の悪化:不動産の価値は、周辺環境にも依存しています。周辺環境が悪化すると、その地域の不動産価格も下落する可能性があります。例えば、騒音や公害、治安の悪化などが挙げられます。

 ④法規制の変化:政府の法規制が変化すると、不動産の価値にも影響を与えることがあります。例えば、建築基準法の改正や地価税の見直しなどが挙げられます。

 これらの要因が重なることで、不動産の価値が減少し、負動産が発生することがあります。

 これらに加えて、「相続登記の放置」も原因の一つと考えられます。あまりにも長い期間放置してしまいますと、当初の相続人にさらに相続が発生してしまい、権利関係が複雑になってしまうからです。

2.負動産を放置することによるリスク

 負動産を放置することによるリスクは以下のようなものがあります。

 ①価値が下落する可能性がある:負動産は、不動産市場で売却することができても、その価格が元の購入価格よりも低くなる可能性が高いです。価値が下落することで、投資元本が回収できなくなる可能性があります。

 ➁維持費用がかかる:負動産を放置することで、建物や敷地の維持費用がかかることがあります。建物が老朽化している場合は、修繕や改修費用がかさむことがあります。また、空き家になっている場合は、管理費用や固定資産税などの費用がかかります。

 ③周辺環境の悪化:負動産が周辺環境の悪化の原因となることがあります。建物が放置されている場合、周辺住民にとっては目障りな存在となり、治安や衛生面の問題を引き起こすことがあります。

 ④規制違反のリスク:負動産を放置していると、建築基準法や建築物維持管理法などの法律に違反する可能性があります。違反が発覚すると、罰金や強制的な解体命令などの法的措置を受けることがあります。

以上のようなリスクがあるため、負動産を放置することは避けるべきです。負動産を放置している場合は、早期に売却や解体などの対策を行うことが重要です。

 とはいえ、①から➄に共通して言えることは、「放置された負動産」の権利関係を特定することが非常に困難になっている場合が多いです。権利関係を調査するにも多額の費用を要する場合があります。仮に、権利関係が明確になっていても、建物老朽化に対する維持管理費用が支払えずに放置しているケースもあります。一人暮らしをしていた父親の建物は既に傷みが激しいから、リフォームか取り壊して土地だけでも売りたいが、「旗地」で、建築基準法上建て替えの規制が厳しく断念したというケースもありました。

3.近年の法改正による負動産対策

 今後、負動産対策の法令が増えるかもしれませんが、現状、確認できる関連法は以上の通りです。

4.まとめ

 空き家問題は、他人事ではありません。少子高齢化が進み、相続する不動産があった場合、子供の数が減少している状況では、相続しても不要となってしまっている不動産も実際多く存在します。行政も対応しているのですが、本来、所有者がある不動産は、その所有者に責任があります。相続登記を放置することで、ある日、自分が負動産を相続する可能性もあります。

 放置は解決策にはなりません。放置はさらなる被害を周辺に及ぼす可能性があります。早めの専門家や行政への相談をお勧めいたします。

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